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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

<お問い合わせ先>
TEL:090-7622-1257

2025年12月20日(土)~21日(日)に第622回月例会(宿毛市橋上町奥藤国有林,土佐清水市斧積天満宮・八幡宮,斧積行者山,片粕海岸旧道)が17名の参加で行われました。

12月20日(土)

午前8時に12名が土佐市のつなーで第4駐車場に集合。3台の車に分乗して出発。国道56号線を須崎まで走り,須崎西ICより高速道路に乗る。佐田さん酒井さんと中平さんとは10時30分に宿毛市総合運動公園で合流。5台の車で宿毛市橋上坂本から下藤川に沿った奥藤林道に入る。奥藤教育林への入り口である施錠されたゲートの手前に車を停めた時点で11時30分であったので,昼食を済ませて11時50分頃に徒歩で教育林を目指して出発。

奥藤自然観察教育林は,標高460m~760mに広がるヒノキ,モミ,ツガの古木に広葉樹をまじえた自然林で,下層にはシャクナゲの大群落があるという。四万十森林管理署へ入山届の際に聞いたところ,ゲートから教育林までの道のりは2~3kmあり,車では行けるが徒歩では遠いとのことであった。

歩きはじめはスギの植林地で,見事な石垣が続く。センリョウの実も実付きが良く目立つ。ゲートを通過してから徐々に登る林道を観察しながら歩く。標高230m位のゲート付近から歩き始める。付近は海岸から離れているが,ホウロクイチゴが繁茂している。アオガシやシロダモ,ハイノキ,アラカシなどの樹木が多く,林下には西部に普通なオオカグマが目立つ。12時15分頃にゲートを通過,この辺りにはバリバリノキが多い。谷を渡るUカーブを過ぎ,さらに林道を折り返すと標高は約300m。リュウキュウマメガキの果実が見事に実り,さらに林道ぶちにトサムラサキが多く生えている。最初あまり実付きがよくない株が点在し,苦労して果実の写真を撮っていたが,さらに進むと美しい紫色の小さな果実をたくさん着けている株が続出。西部にはやや普通とはいえ,私たちにはとても魅力的で,興奮してしまう。傍らには夥しい果実がはじけたジャケツイバラの株も点在。遠くスギの梢にオオバヤドリギの塊も見える。佐田さんが山側の斜面にヤマイバラの徒長枝を見つけて教えてくれた。県内では西部にまれに見られる野バラで,隣の黒尊渓谷が産地として有名である。ケケンポナシの果実が大量に落ちており,甘い山の恵を味わう。色々見ながら林道を歩くも,なかなか教育林の入り口にはたどり着かない。その内15時近くになり,先行していた細川さんが戻って来た。標高約450mあたりの教育林入り口付近まで行ったがそこから先は崩落していて行くことができないとのこと。時間もないのでそこから引き返すことにした。それにしても,管理署に聞いた時には車で行けるとのことでしたが,道は結構荒れていてジムニーが必要なほどであった。教育林は昔は橋上中学校などが自然観察で利用していたようだが,今ではとても行けそうになく,良い林が利用されずにもったいない気がする。

16時ころにゲート下まで降り,車で総合運動公園へ戻り,321号線を南下,大月町を経由して土佐清水の叶崎でツメレンゲを見て,17時すぎに龍串のホテルオレンジに到着。日が暮れてから,浜で花火が打ち上げられ窓から観賞。19時から忘年会。20時過ぎに部屋に戻り2次会。恒例の宇田氏の熱唱で夜が更けた。

リュウキュウマメガキ
リュウキュウマメガキ
トサムラサキ
トサムラサキ
トサムラサキ2
トサムラサキ2
林道で観察1
林道で観察1
林道で観察2
林道で観察2
サザンカ
サザンカ

12月21日(日)

夜中には結構な雨音がしていたが,朝はやや小降りになっていた。8時すぎにホテルを出発し,8時45分頃に斧積の天満宮に到着。拝殿裏のスダジイの根元にヤッコソウが顔を出している。踏まないように気を付けながら観察する。すぐそばには高さ20mを越え,胸高直径約110㎝のイチイガシの大木が立っている。拝殿の横にたくさんの実をつけたツゲモチが確認できた。高さ10m,胸高周囲は85㎝ほどの立派なツゲモチである。鳥居の横には高さ約8m,根元周囲が105㎝のクチナシの大木に実が成っている。マンリョウも高さ4mを優に超える大きさである。イスノキ,ヤマビワ,タブノキ,ナギ,ミサオノキ,シリブカガシ,ヤマモモ,モッコクも大きい。林下にはオオカグマやカツモウイノデ,ミヤマノコギリシダなどが見られる。

斧積天満宮前
斧積天満宮前
大きなマンリョウ
大きなマンリョウ
ヤッコソウ
ヤッコソウ
境内
境内

9時40分すぎに次の観察である斧積の通称行者山に移動。イノシシの飼育小屋から観察を始めた。囲いの中をイノシシが勢いよく走り回っている脇を通り林道へ入る。いきなりハドノキの群落に目を奪われる。西部に来ないとみられない樹木で,変わった形のそう果をつけている。花後に花被が肉質化して黒色の小さなそう果の周りを取り囲んでいる。今年は成り年なのだろうか,枝一面に鈴なりである。ちなみに雌雄別株で,2~4月に前年枝の葉痕のわきに紅色の小さな花が集まって咲く。県内では土佐清水市,大月町,宿毛市沖ノ島の海岸沿いに分布する。これだけでも満足であったが,時間もあるのでさらに奥へと移動する。ノジギク,ツワブキ,ヨシノアザミ,シロダモなどの花や,レモンエゴマの果実,オオバライチゴ,ショウロウクサギ,シロヤマシダ,ミズスギ,ハクモウイノデ,ハチジョウカグマなど面白い植物が次々と現れる。この場所での目的はコモウセンゴケで,のり面にたくさん張り付いて見られ,紅葉し始めている。

ハドノキそう果1
ハドノキそう果1
ハドノキそう果2
ハドノキそう果2
林道で観察1
林道で観察1
林道で観察2
林道で観察2
コモウセンゴケ
コモウセンゴケ

11時も過ぎ,昼のお弁当をめじかの里に頼んでいたので,観察を切り上げて,12時にめじかの里へ移動し昼食とした。

12時30分にめじかの里を出発し,12時40分に片粕の海岸に移動する。旧道入口の車を停めた場所にハマアザミの色の濃い花が咲いており,ハマヒサカキやツルソバには花と実が,ノジギクやアゼトウナ,コバノタツナミソウ,ハマナデシコ,ツワブキ,ツメレンゲの花も見られる。ホウヨカモメヅルは葉が黄色く色づいている。カンコノキがきれいに紅葉しており,シマサルナシに実が成っている。海に面した斜面はウバメガシの純林で,旧道ぞいにタマシダが繁茂している。シマサルナシの実やオオイタビの実なども賞味。しばらく旧道を歩き,午後は天候も回復して壮大な太平洋の景観を楽しみながら快適に歩くことができた。13時30分すぎに引き返し,14時に片粕を出発して,大月の道の駅に立ち寄り,各自買い物をして,17時40分に集合地点のつなーでに無事到着して解散した。

ノジギク
ノジギク
オオイタビ♀
オオイタビ♀
サカキカズラ
サカキカズラ
タマシダ茂る旧道
タマシダ茂る旧道
ツメレンゲ
ツメレンゲ

今回は昨年に続いての年末幡多路であったが,参加者も多く,いろいろな植物に出会え,またホテルオレンジでのおいしい料理でのもてなしで,満足のいく例会であった。

〔鴻上泰〕