menu

The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

<お問い合わせ先>
TEL:090-7622-1257

2024年5月25日(土)第604回月例会(仁淀川町仁淀村大植・川内神社~白石川)が17名の参加で行われました。

天候は晴れ。
このところ2か月続けて雨天中止としていたので,久しぶりの月例会の開催でほっとする。集合場所である川の駅越知(スノーピーク)には9時半頃から参加者が集まり始め,10時には15人が集合した。今回は長野県から藤田さん,広島県から齋藤さんと藤冨さんが参加されている。

川又神社付近で観察(バックの山は鳥形山)
川又神社付近で観察(バックの山は鳥形山)
直ちに河原の宮の前公園に移動し,4台の車(大石さん,久保さん,鴻上,細川さん)と宇賀さんのバイクで10時15分に国道33号線を仁淀川町へ向けて出発した。名野川入り口を経て旧仁淀村方面への赤鉄橋を渡り国道439号線に入り,森の集落を抜け,長者方面へ南下する。鳥形山方面への道を経て,織合の神社(ここも川又神社)で一服。トイレがあるはずと立ち寄ったが,残念なことに汚くて断念。織合トンネルを過ぎた所から旧道へ入ったが道を間違えて,再度入り直し,目的の川又神社へ着いたのは10時50分であった。

神社の駐車場にはすでに中平さんと別役さんが来ており,早速身支度を整えて周辺での観察が始まった。北西方面の眼前には鳥形山鉱山の端が見える。数十年前にはモミやスギの大木で鬱蒼としていた所だが,新しい橋と駐車場ができて明るい日差しが照り付けている。当時の面影か,周りの木々の高いところには,花はもう終わっているがセッコクが大量に着生しているのが遠目にもわかる。

通りかかった地元の人に話を聞いたところ,奥の白石川には2人,この川又には3人の住人が住んでおり,神社のお祭りは毎年この3人で行っているという。ちょっとお邪魔しますとご挨拶をして別れ,観察にとりかかった。めいめい道沿いや境内の林内,下を流れる渓流沿いに散らばる。

渓流沿いに降りると川岸にはすでに花は終わっていたがキシツツジとこれから花が咲きそうなアワモリショウマが群生。チャボシライトソウは花が終わりかけで,ハルノタムラソウはきれいに咲いている。境内にはヒメホウチャクソウやキッコウハグマ,ツルアリドオシなどが林床に生え,狭いながらもアオガシ,ツクバネガシ,ウラジロガシ,シラキ,アオハダ,カイナンサラサドウダン,ハイノキ,アブラチャン,ツルグミなどの林が上を覆っている。道ぶちにアオテンナンショウの花が咲き,ツルリンドウやウメガサソウも見られる。

アオガシ
アオガシ
アオテンナンショウ
アオテンナンショウ
ハルノタムラソウ
ハルノタムラソウ
白石川林道で観察
白石川林道で観察
すでに昼を過ぎていたので,それぞれ三々五々境内周辺の日影でお弁当を広げた。
12時50分頃川又神社を出発し,13時10分頃に白石川集落の林道入り口広場に車を停めて,林道を歩くことにした。道沿いにノアザミの花やキショウブの花が目立ち,溝にはオランダガラシの花が満開であった。林道の下の壁面にサジランとイワヤナギシダが並んで生えており,宇賀さんと覗き込む。下の渓谷には水が豊富に流れており,降りられたら何かありそうであったが,降りる場所がない。この林道沿いにもアオテンナンショウが咲いている。ナガバモミジイチゴの実が黄色に色づいていたが,まだ少し早いようだ。

40分ほど歩いて大きな岩に行き当たり,岩にはオオフジシダやシシランなどのシダ類がたくさん着いていた。周囲はほとんど植林だが部分的にケケンポナシやケヤキ,フサザクラ,カツラなどの樹木が見られ,アオガシやシラキに花が咲いている。目のいい中平さんが比較的大きな木を下から見上げて,コクサギ型葉序のイソノキであることを確認。県内でイソノキは東部にはごくまれで中部と西部に分布が偏っており,単木が点在するため見る機会は多くない。

オオフジシダ
オオフジシダ
カツラ
カツラ
イソノキ(中平勝也)
イソノキ(中平勝也)

14時30分,林道はまだ先に続いていたが,その先は植林地であることから引き返し,15時に広場に帰着。そこで,中平さんや宇賀さんと別れ,16時に宮の前公園で車代の清算をして解散した。

〔鴻上泰〕