|
No.1 母島港 |
23日は早朝5時出発の日帰り沖ノ島調査。巨峰園に着いた時にはまだ暗く,電気のついたバスと誘導係の持つ懐中電灯の明かりを見てほっとした。巨峰園からは10人が乗り込み,薄明に出発した。次の集合場所土佐市の「つなーで」で5人が合流し,途中道の駅あぐり窪川で10分ほどの休憩をとった。次の休憩地のサンリバー四万十は通過することにして,そのまま宿毛へ向かった。宿毛では市内のコンビニで1人が,片島港で2人が合流し,澤近渡船で母島に向かった。片島を8時半頃出発,定期船では1時間半ほどかかるところ,30分で母島港へ到着した。
|
No.6 ハカマカズラ (撮影:上杉翔) |
まず,母島港から直接自生地に行くことのできるハカマカズラを見に行くことにした。地元の澤近安紀氏が,事前に山へのゲートを修繕しておいてくれ,入り口付近の草刈りもしてくださっていた。また,ハカマカズラまでのルートにトラロープを引いてくれていたので,迷うことなく天然記念物の個体の場所までたどり着くことができた。林の中には天然記念物の石標が新たに設置され,濃い茶色の太さの様々なハカマカズラのつるが地面を這ったりほかの木に絡んだりしていた。
|
no.7 コヒロハハナヤスリ |
細いつるには特徴的な袴の形の葉が着いていた。開花期は7月下旬と思い,月例会を設定したが,林の中から見上げても最初花が咲いているかわからなかった。双眼鏡で樹冠のすき間をよく観察すると,薄黄色い花をつけた花序が見えた。風が吹いて樹冠にすき間ができると,そこかしこに20cmほどの花序が見えた。30分ほど観察した後港に戻った。全員がそろったのを確認した後,次の目的地の烏帽子崎に向かった。
|
No.8 シオミイカリソウ |
烏帽子崎はほとんど林の中を通るので,雨でも晴でも問題ないだろうと思い観察ルートに選んだ。烏帽子崎のへの道は母島の集落に入ってすぐのところを左に登らなければならなかったのだが,間違えてそのまままっすぐ進んでしまった。郵便局を過ぎた辺りで間違いに気づき,次の曲がり角を左に折れ,階段を登ったところで迷っていたところ,対岸にいた地元の人が「左に進んだらいい」と教えてくれ,やっと道がわかった。
|
No.13 烏帽子崎への道 |
烏帽子崎への道の入口付近では草が生い茂っていたようであったが,澤近氏が当日朝のうちに草刈りをしてくださり,無事通ることができた。途中草刈り機と鎌,なた,鋸を残しておいてくれていて,先で必要なら使うよう連絡をいただいていたので,鎌と鋸を借りていった。道は最初のうちだけ少し急な登りで,その後はアップダウンがほとんどないため,ゆっくり観察しながら見つけた植物名をみんなで挙げながら進んだ。鞍部に着いたのはちょうど12時頃で,そこで昼食をとった。昼食後烏帽子崎方面に進んだが,過去に畑や住宅地として利用されていたようで,林も若く,乾燥して林床の植物相も貧弱になったため,烏帽子崎灯台までは希望者3人だけ行き,それ以外の人達は途中で引き返した。灯台までの道は葉や枝が積もっていたり,コシダやウラジロが繁茂しているところもあったりしたが,すべてコンクリートで舗装されて,運輸省と刻まれた石柱が一定の間隔で道の両側に立てられていた。昔灯台は本当に重要な施設だったのだなあとつくづく感じた。
|
No.14 烏帽子崎の灯台 |
先に母島集落に戻った人達のうち,2人が小学校跡地へ行き,残りは猛暑を避けて港近くにある建物の中で休んでいた。船を待つ間,港の対岸からハカマカズラのある斜面を観察したところ,広い範囲に多数の花序が観察され,天然記念物になっている以外にも多数の個体があることが確認できた。15時10分頃に迎えに来た渡船に乗り,30分後片島漁港に無事着いた。片島港では自家用車で来ていた2人と別れ,バスに乗った。帰路にはどこにも休憩によらなかったので,18時頃には土佐市のつなーでに着き,18時半過ぎに巨峰園に戻ってきた。今回観察地点は遠方だったが,バスで移動することで疲労も少なく,安全に観察会ができたと思う。
〔前田綾子〕