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矢流海岸 |
午前9時に芸西村琴ヶ浜に13名が集合。本日の予定の説明後9台の車で出発。9時30分に安芸市赤野の休憩所から海岸の浜に降りて駐車し、東方の矢流海岸の植物を観察。浜には波によって打ち上げられた流木が積み重なっている。おなじみのダンチクが多数出穂しており、休憩所の斜面にはハヤトウリがたくさん実っていた。足元にはネコノシタにまだ花が残っており、テリハノイバラの赤い実がたくさん着いている。浜に広がったハマナタマメにも花と豆とが見られ、見上げたエノキにもたくさん実が着いている。かつて矢流の海岸断崖にはシオギクやアゼトウナなど海岸植物がたくさん見られたが、大繁殖しているツルソバに覆われてしまい、岩場の一部に生育が限定されてしまった。ツルソバはもともと東部の海岸には無かったものだが、護岸工事等に伴って侵入し、今や東部の海岸では至る所で大繁殖している。ツルソバの隙間でタイキンギクも蔓を伸ばして花を着けている。潮を被る岩場の最前線にアゼトウナが鮮やかに花を咲かせ、海をバックに良いアングルで写真が撮れる。ハマヒサカキにも花(雌花)が咲いており、すでに実になっているものもある。少し奥まった湿り気のある場所にはツワブキの一群が見事な花を着けている。すぐそばにはすでに種を飛ばした後の丸い実をたくさんつけたハマボッスの枯れた茎が束になって見られた。1時間ほど観察したのち、戻り際にふと足元の砂浜を見ると、ウサギの糞が大量に、しかも車の轍に集中して残されているのを見て一同???。
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赤野川河口付近 |
駐車場所から西方、赤野川河口方面へ向かった。こちらの海岸は高速道路の工事に伴い、重機が通るための鉄板が敷き詰められ、周辺はずいぶんと攪乱されている。海岸の少し葉が厚ぼったいアマチャヅルの実が黒緑色に熟している。丸い実の上半分にガクや花冠が落ちた跡が白い横筋として残っており、先端の花柱の落ちた跡が顔のようにも見える。潮だまりにはヨシの群生が見られ、野鳥のためか「ヨシ保護区」の看板も立っている。サネカズラやアキグミ、ツルウメモドキなどにもたくさんの実が着いている。ヒロハフウリンホオズキ、タチスズメノヒエ、イモネホシアサガオ、イリオモテアサガオ、カンザシイヌホオズキ、ノゲイトウなどの帰化植物が普通に見られる。国道へ上がる斜面に植栽と思われるシャリンバイに実がすずなりに実っていた。
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十二所神社にて |
11時20分頃にいったん国道に出て、大元神社へ向かった。国道ぶちには植栽のサザンカが満開で、植え込みに生えたコスミレに花が咲いていた。大元神社ではヒノキの大木やホルトノキ、ミミズバイ、実のなったムクノキ、オバヌスビトハギ、ヤブコウジなどを観察。境内の片隅のコスミレにも花が咲いていた。
神社を出て特別養護老人ホーム八流荘の前にある由緒ある「八流のクロガネモチ」を見て国道経由で赤野休憩所に戻り昼食。雲一つない晴天で、冬にもかかわらず意外と暑く、木陰を探して座った。
12時40分に車に乗って移動。大元神社のもとを通って東赤野の集落を通過し、穴内―赤野基幹農道に乗り東進、「しろがたにがわ橋」の手前で縦列駐車。橋の手すり越しに、オオバヤドリギの花が見られる。すでに花のピークは過ぎていたが、まだ新鮮な花も見ることができた。この場所は元高知県農技センターの研究員であった山下泉氏から2021年にいただいたメールで確認した場所で、見渡すとこの周辺にはいたるところに見られ、アラカシ、シロダモ、スギ、ヤマザクラなど様々な木に着生している。橋から奥を見ると独特な白い木肌のタマミズキの大木も見られた。
40分ほど観察した後、農道をさらに東進、大夫屋地のため池を経由して西地の奥ノ谷入り口付近に縦列駐車。墓地の傍らを谷に向かう農道を少し入ると、目の前でオオバヤドリギを見ることができる。この谷の樹木にも多数のオオバヤドリギの着生が見られる。遠目にも独特の赤味がかった枝葉の色が目印になるが、なかなか数えきれないほど多い。向かい側の十二所神社の境内でもツブラジイに大量に縺れついたオオバヤドリギに目を奪われた。見渡すとこの境内林にも至る所に見ることができる。30分ほど境内でモチツツジ、トキワガキ、コバンモチ等を観察ののち、14時30分に現地で解散した。〔鴻上泰〕