2011年4月10日(日)第447回月例会(土佐郡土佐町三辻山)が開催されました.
本日の観察ルートは青少年の家~樫山峠~三辻山~赤良木隧道である.9時06分,まず県道を1㎞ほど下る.よき準備運動である.晴天,山の空気はまだ冷たい.しかし,春の歩みは早い.1週間前は冬枯れの路肩には,アマナやシロバナヤマルリソウ,ツルカノコソウなどが可憐な花を咲かせている.ヤマヤブソテツの立派な1群が付く岩場を横目に,樫山峠への入り口に至る(9時33分).これより15分ほど,沢沿いに上る.沢に分れて30分,樫山峠に至る.この間はほとんど杉の植林で,林床では,日陰の身ゆえであろう,伸び悩むイヌガヤ,ヤブツバキ,ハイノキ,シロダモ,アガガシ,シキミなどの低木が懸命に春の日差しを求めている.峠近く,植林が途切れると,シハイスミレ,タチツボスミレ,テンニンソウ,イチヤクソウ,アサマリンドウ,フデリンドウなどの野草が現れる.アセビが多い.峠はススキ原の中にあり,「山登の部屋」のホームページに云う峠のベンチは,土に帰ろうとしている.
峠からは,スズタケ,シュンラン,ウバユリ,マンネンスギ,コバノイシカグマなどが現れる,なだらかな尾根道を辿る.途中,ルートを少し離れ,眺望の岩頭に立つ.ホンシャクナゲやヒカゲツツジの向こうに土佐町樫山の集落を望む.ルートに戻る.途中,再びルートを外れるが,風雪に耐えるブナの姿に心を動かされる,ビューポイント黒滝峰へのピストン(20分程度)もお勧めである.北斜面へ巻くと,シャクナゲの群落,ブナやホウノキの大木が,そしてヒメシャラが多い.ヒノキの太い根が樹皮を覆い大蛇のごとく岩場を這う.どこか,この辺りで谷本氏はオオフジシダとコケシノブ(?)を観察したとのこと.コケシノブと同定されれば,高知県植物誌(2009)には2か所が示されているのみであるから,県内3か所目の記録となるはずである.赤良木峠ルートとの合流地点,赤い屋根の休憩所を過ぎると,ほどなくアセビの花咲く三辻山の頂上に至る.11時30分,遠く浦戸湾を眺めながら昼食をとる.
下山路は,アセビの林を抜け,ヒノキの植林の下,赤良木峠へのルートを取る.植物相は往路にも増して貧.林床が暗くなったためか,以前にみられたナンカイアオイの群落は姿を消した.12時40分,林道に出る.フキノトウの雌雄を観察したり,シュンランの花を撮影したりしながら,13時,出発地点に到着する.メンバーの多くにとって,本日の行程は役不足だったのであろう,エイザンスミレやヒロハハナヤスリにレンズを向けるなど,なかなか車に乗ることにならない.ようやく集合の合図があり,佐々木さんの総括と山岡会長の次回予告があり,散会となる.(文:松本満夫,写真:佐々木英男)