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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

<お問い合わせ先>
TEL:090-7622-1257

2012年7月8日(日)第462回月例会(四万十市八束)が開催されました.

 予定どおり午前9時,ビオス大方を出発,一番海寄りの園路を通って四万十市へ.橋のたもとで中村チームの森幸子さん,高知の細川公子さんと合流,四万十川最下流の大橋を渡り,調査予定地へ.
 農道の南側に車を止める,北側はハンノキの自生地(写真右),植物誌によるとハンノキは高知市,中村市,三原村の3箇所しか標本が採集されていない.この内三原村はたった一本自生を見つけ標本採集をしたもの,高知市の自生地は全く知らないが自生数ではここが県内一であろう.百本以上が自生し生育環境も問題なさそう.
 南側でケサンカクヅルらしきツルを誰かが見つけた.葉の両面はまさにビロードの手触り,こんなのは初めて,ケサンカクヅルの変種なのか独立した別種なのか,完全標本を採集し牧野に送るつもり.
 花も果実も無いキク科の帰化植物,多数決でブタクサと決めたがキバナコスモスかもしれない.ここは約1時間で切り上げ,トイレのある遊覧船の乗り場で車を整理し,王子神社へ.
昔氏子が植えたのであろう境内のタチバナは高さが4m弱,周りの木が伸び日当たりが悪くなっているがまだまだ元気,健脚のシダ班は谷筋を登り,残りはゆっくり尾根筋を登る.ここもいつの間にかアオモジが進出している.ここは数年前,ツゲモチを探しに来た.その時は谷筋を登り背の低いツゲモチを見下ろす感じで降りてきたので4~5株見つけ,空色のテープを付けたのだが見当たらない.
 確かこの辺にも有ったはずだがと思うのだが,下から葉裏を見上げて探すのは効率が悪い.先頭の集団が怪しげなものを見つけたようである.地面に1センチくらいのピンクの玉が転がっている.ホンゴウソウだという.よく見れば花である.それにしてもけったいな花である.
 先日は黒尊でこれまた生まれて初めてウメガサソウに出会った.こちらはイチヤクソウ科だし,梅笠の名のとおり真面目な五弁花である.ほどなく古希を過ぎなんとする今も胸躍る未知との出会いがある.若き日に植物と出会ったことを,つくづく幸せであったなと思う.昼食は遊覧船の乗り場で.

 午後はクサマルハチの曽我神社(写真,上左)へ.ここは十数年前,モウソウチクが生い茂りクサマルハチを圧迫していたので部落の人や市の教育委員会,澤良木先生,私たち夫婦,当時は市の職員だった山崎さん達とで全て竹を切り払い,下の端まで節を抜いた.翌春小さい芽が1本出たがそれを切り払い現在モウソウチクは皆無.根元まで節を抜けば雨水が溜まり根も腐る.
クサマルハチ(写真,上右)は以前より数が増えている.ここはクサマルハチとスジヒトツバ以外に見るべきものはない,以前はホウチャクソウがあったのだが.ここにもアオモジがいっぱい進出している.少し移動し山路川の右岸の湿地へ.
ここも最初の調査地より規模は小さいがハンノキの自生地,独特の樹形をしているので遠くからでもすぐそれとわかる.湿地の中に細い三角錐が真っ直ぐにたっている.畦を大勢で踏み荒らすと農家の方が困るのでなるべく溝や休耕田を歩き,各自散策.一段高い休耕田にハンゲショウが花ざかり,カキランもありそうだがと探したが見つからなかった.その後中筋川右岸の河川敷へ,ここは帰化植物が多く一同が興味を持つ種は見当たらない.マイヅルテンナンショウの自生地を見たいという話になった.車で10分足らず上流の入田柳林へ.マイヅルテンナンショウでよいのなら事は簡単,私はなるべく見たくないので初めから調査予定地に入れる気はなかったのだが.
タネを付けた株もいっぱいある.まだ色は青いが先日観察会をしたばかりなので杭も新しい.
マイヅルテンナンショウがこの地で初めて見つかったとき牧野の黒岩,前田両氏を手伝って3日間調査をしたとき,全ての個体数を数えた.その数7千余り,今はおそらく2万を超えているだろうと思う.今一度数えなおす,考えただけでゾッとする.
ここで丁度午後3時になったので現地解散,お疲れ様でした.
 その後この稿を推敲していて気になることが出てきた.タチバナの樹高である.ホンゴウソウのその後も気になったので16日に現地へ行ってみた.
 私が持っている高枝切りのタモ網の柄は5m99cmである.それを右手で持ち,木の下で精一杯右手を上げ背伸びをした,どうも枝の上の端まで届いていないようだ,真下から見上げるのだから正確ではないが.
 家に帰り高枝切りの先端に巻尺の先を固定し,柄を右手に背伸びした.地面に接した目盛が7m75cmであった.タチバナの樹高は8mを超えている可能性がある.18日,私たち夫婦とキムヒロ氏,山崎憲男氏,四万十市役所,生涯学習課のA氏の5人で再測にいった.
 まず高枝切りの上に割竹を60cm継ぎ足し,上部に青いテープを目印に結んだ.キムヒロ,A氏の二人に斜面をテープと同じ高さまで登ってもらい,ほぼ水平な位置から見てもらうと,棒のほうが20cmくらい高いということであった.この方法と計算に全く間違いないと仮定すればタチバナは8mを超えることになる. 樹高8mのタチバナ,そんな例を私は知らない.      (田城松幸)

植物名:ハンノキ 撮 影:山岡重隆
植物名:ハンノキ 撮 影:山岡重隆
植物名:ホンゴウソウ 撮 影:山岡重隆
植物名:ホンゴウソウ 撮 影:山岡重隆
植物名:マツザカシダ 撮 影:山岡重隆
植物名:マツザカシダ 撮 影:山岡重隆
植物名:スジヒトツバ 撮 影:山岡重隆
植物名:スジヒトツバ 撮 影:山岡重隆
植物名:マイツルテンナンショウ 撮 影:山岡重隆
植物名:マイツルテンナンショウ 撮 影:山岡重隆
植物名:オトギリソウ 撮 影:山岡重隆
植物名:オトギリソウ 撮 影:山岡重隆
植物名:コオニユリ 撮 影:山岡重隆
植物名:コオニユリ 撮 影:山岡重隆
植物名:オモダカ 撮 影:山岡重隆
植物名:オモダカ 撮 影:山岡重隆