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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

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2012年12月9日(日)第467回月例会(土佐清水市大岐,撮影:山岡(重))が開催されました.

 今年最後の例会は,冷たいみぞれ交じりの天候となってしまった.
集合場所の黒潮町,道の駅ビオスを午前9時出発し,公園道を抜け西へ走る事50分.紅葉の時期は過ぎてしまったが,山々にはアカメガシワ,コナラ,ハゼノキなど色づいた木々が遠くからでも確認が出来た.途中,榎氏と合流し今回は14名の参加者である.
 大岐から土佐清水市益野に抜けるふるさと林道の路肩に車を止め,それぞれに寒さ対策や雨対策を整え,地元で幸の川と呼ばれている谷川沿いに観察を始める.数十年前は田畑であったと思われる石垣が残る場所にはスギが植林され,その林床には日陰を好むシダ類,特にカツモウイノデが多く生い茂っていた.谷川からの湿度と黒潮が運ぶ暖かさがこの地域のシダ類を育んだのであろう.ここでは,植物誌で「高知県では土佐清水市にのみ分布するが極めて稀」と記されているヨゴレイタチシダや,数少ないナガサキシダ(写真左,山岡撮影)また南方系のリュウビンタイ(写真右,山岡撮影)の幼株も10個体以上が観察できた.
 時折,小雨が降っていたが,谷間のおかげで風を避け寒さも和らげてくれた.感謝である.冬枯れの中,センリョウの赤い実,カラスウリの朱色が暖かさを感じさせてくれた.
昼近くなったので,いったん,車で10分程移動し,土佐清水市三崎の道の駅,メジカの里で昼食をとり,つかの間の休憩を取った.

 再びもとの場所に車を止め午後の観察を始める.農業用水溜池,大峰湖(地元ではオムネコと呼ばれている.)周辺の観察も考えていたが,天候や,足元にも不安が残る事から,幸の川から和田へと続く旧道沿いに約1キロの観察を行う事にした.田畑と水路に囲まれたこの道は,見通しも良く南側には大岐の浜防風林も見渡す事ができた.
 午前中とはうって変わり風雨をさえぎる木立はなく,おまけにしぐれの冷たい事.寒さの中,傘をさしたり,たたんだりの観察となった.それでも,サネカズラ,ガマズミの果実,サザンカ,ノジギクの花など初冬の美しさも愛でる事が出来た.
 春にはサワオグルマ,夏にはカキランも数多くみられるこの場所に今は冬枯れしたテツホシダの群落も見られた.   
ここ大岐では,その他に別の場所でへゴの大株の自生もあったが,環境の変化により枯れてしまった.本当にシダ類の豊富な地域であり,貴重な場所の一つではないかと思われる.
おりしも,今日は須崎~窪川間の高知自動車道,開通の日.9分の短縮は大きいこの道を,寒さの中きっと家路を急ぐ事だろう.無事を祈りつつ午後2時30分現地解散となった.   (酒井 泰一)

植物名:エビネ 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:エビネ 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:サネカズラ 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:サネカズラ 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:シマサルナシ 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:シマサルナシ 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:トラノオスズカケ 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:トラノオスズカケ 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:アマチャズル 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:アマチャズル 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:センリョウ 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:センリョウ 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:カツモウイノデ 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:カツモウイノデ 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:ダンチク 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
植物名:ダンチク 場 所:土佐清水市大岐 撮影者:山岡重隆
イワガネソウ
イワガネソウ
シロダモ
シロダモ
サザンカ
サザンカ
テツホシダ
テツホシダ
ノジギク
ノジギク
ゴマシオホシクサ
ゴマシオホシクサ
オオムラサキシキブ
オオムラサキシキブ
サルトリイバラ
サルトリイバラ