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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

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2013年6月9日(日)第473回月例会(高岡郡日高村大滝山・猿田洞)が開催されました.

大滝山からの眺望
大滝山からの眺望
 週間天気予報では晴れだったはずの6月9日の日曜日,朝から空はやや厚めの雲に覆われ,予報も雨模様に変わっていた.梅雨時だから仕方がないと思いつつ,8時半少し前に集合場所の仁淀川橋西詰め広場(河川敷に近い広い方)に到着.参加者らしき姿はちらほらといった状況だった.西詰め広場は国道を挟んで両方にある.過去の集合場所はそれぞれで行ったことがあるので,反対側にいるかもしれないと思いつつ,皆の到着を待った.次回の集合では,どちらかはっきりと示した方が良いだろう.案の定,狭い方の広場にも参加者は集まっており,待機していた鴻上さんが参加者を引き連れて広い方に移動.本日集まったメンバーは総勢13名,最初に待機した場所は半々だった.
本日の予定説明の後,最初の目的地である大滝山目指して車で移動.当初の予定では,めだか池(日下調整池)を観察後,日高村総合運動公園から大滝山に登る予定であったが,あじさい祭りの開催と重なってしまったため,九頭の集落からのコースに変更.森野先生のご紹介で地元の方が案内してくださることになっており,9時過ぎに九頭農村公園で案内人の森下さんと合流.小雨の中,観察登山(ハイキング)を開始した.
 最初は日当たりのよい集落道.自然度が高く,オオバコが狭い道を埋め尽くしている.昨今,オオバコと言えば帰化植物のヘラオオバコがやたらと目立つが,ここは在来種.「山道で迷ったらオオバコを探せと昔は言ったものだ」と誰かが話していた.

 集落道を程なく進むと雑木と植林の入り混じる林の中へ.林床にはルリミノキ(写真左)が多数あり,白い花が満開状態であった.シコクバイカオウレン(写真中)の群落にも遭遇.花の時期にはさぞきれいだろう.以前はもっとたくさんの株が群生していたそうだが,かなり減ってしまったとのこと.ここでも盗掘(?)があるのかと考えると少し哀しい.ナベワリ(写真右)も発見.4枚の花被片の長さがほぼ同じで,葉の幅が広く葉縁が波打ち鋸歯も比較的はっきりしていることから,シコクナベワリ(?)の可能性が大とのことになった.
 途中,道があるのかないのかよくわからない脇道へトラバース.案内人が居ればこそ.大きな岩場を回り込むコースらしい.山中には湿地もあるらしいが雨の中では足元もおぼつかない.そちらの方はまたの機会となった.林を抜け進んだ先の岩場の上からの眺望は素晴らしく,岩目地や加茂の集落や調整池を望むことができた.岩場の下に花をつけたタマミズキを2本確認.大滝山は修験場としての歴史があることから,かつては修験に励んだ霊場であったことだろう.
 その後は軽い藪こぎをしながら進むみ鉄塔の下へ.鉄塔の下に小雨にもかかわらずコキンバイザサの花が開花していた.そして大滝公園へ到着.山頂まであと100mの案内板.HP等で紹介されている写真では見晴らしが良さそうであったが周辺の樹木が大きくなったためだろう.見晴らしはあまり良くなかった.
 ここで,思いがけずJRで来たという黒川さんと対面.彼女は岡花駅から運動公園を経由して登ってきたらしい.例会参加者は14名になった.
福原を除き山頂へ(福原はムヨウラン類が見たいと雑木林へ突入.ハルザキヤツシロランの果実やウスギムヨウランの花を堪能).祠のある山頂で一息ついたあと,祠下の硅岩の周囲を巡る.薄暗い林床にはウスギムヨウランが多い.
 下りは登りとは別ルートで九頭の集落へ.登りのルートでも見かけたが植林の中には綺麗に積まれた石垣が目立つ.話によるとかつては畑であったらしい.作らなくなったので木を植えていくのはどこも同じ状況の様だ.山道の終点は,護国神社.元高知陸軍歩兵44連隊ゆかりの品や故吉田茂首相の慰霊塔があるとのこと.石段を下っていると鮮やかなカンアオイの葉が目にとまった.サカワサイシンだ.大きな花が咲いていた.
 石段を下りきると護国寺.ご住職は不在であったがご厚意で仏像や曼荼羅を見せていただいた.
12時に出発地点に到着.案内していただいた森下さんにお礼を述べ,午前中は終了した.機会あればとっておきの場所にもご案内いただきたいものだ.
 公園で昼食時に,地元の森野高明氏が陣中見舞いに.大滝山は森野氏のフィールドで,森野氏本人は当日調整池周辺で行われているアジサイ祭の案内人をしているため,例会には参加できなかったが,事前に大滝山の見どころや案内くださった森下氏を紹介いただき,駐車場の手配もしてくださった.昼食後,皆でアジサイ祭の会場に立ち寄り,その後宮谷を経て沖名の猿田洞へ向かった.
 猿田洞入り口の産業資料館で堀内氏と合流し,早速洞入り口付近から観察を始めた.猿田集落の洞出口付近の林内の植物や,さらに谷の奥の林内の石灰岩に着生するクロガネシダなどを観察.降り続く雨も止まないので,午後3時ころに猿田洞入り口で解散した.
本日の月例会では,事前に情報と下見に同行してくださった森野高明氏と,当日ご案内くださった森下氏に改めて感謝いたします.
(福原宏原文に鴻上泰が加筆.写真は山岡重隆)

コキンバイザサ
コキンバイザサ
サカワサイシン
サカワサイシン
アリドオシ
アリドオシ
クチナシ
クチナシ
ミヤコグサ
ミヤコグサ
ネジキ
ネジキ
クロガネシダ
クロガネシダ
イワヒトデ
イワヒトデ
オオクグマ
オオクグマ
ツルデンダとバイカアマチャ
ツルデンダとバイカアマチャ
テイカカズラ
テイカカズラ
ハナミョウガ
ハナミョウガ