2013年12月8日(日)第479回月例会(幡多郡三原村)が開催されました.
車は最小限の7台.作業用林道に乗り入れ駐車し,10時35分観察を開始した.早くも,トサムラサキの紫色の小さな実が鮮やかに映える. 足元の草類はすでに姿を消し,立枯れた茶色のシソ科がやたら目につく.林業の盛んな三原村.植林(スギ・ヒノキ)の中とはいえ,しっかり観察してゆくと樹木種の豊富さに驚かされる.イヌガシ・トキワガキ・キガンピ・シキミ・カンコノキ・カナメモチ・バリバリノキなどスギの枯れ枝を踏みながら木々の観察をして行くと,ほどなくヤマハンショウヅルを最も真近で観察のできるベストポイントに到着した.
暖かな日差しの中,空に浮かんだような白い花や,つぼみがまぶしく見えた.可憐である.
初めて出会う植物だけに皆さんの歓声がすごい,写真を撮ったり,触ったり,五感すべてで観察しようとする熱気が伝わってきた.今回はまだ1分咲き.最盛期の花の美しさをお見せ出来なかったことが残念であった.
この地のヤマハンショウヅルは,2011年,国有林で間伐作業をしていた方が見たこともない蔓植物が有ることに気付き,牧野植物園に持参したことがきっかけと聞いている.
沖縄や屋久島,宮崎でも数少なく自生が確認されているらしい.このような南方系の植物で自生地も少ない貴重なものがどうして今の山に? 疑問は残るが,中四国で初めての確認ではないだろうか.
ヤマハンショウヅルはセンニンソウの花を少し大きくした形で,花期は11月中旬から1月中旬. 花期後,3月中旬頃から,白くふわふわとした綿帽子に覆われたように種子をつける.葉は小葉3枚の複葉でムベの小葉に似て全縁であり,ムベの葉より柔らかく厚みがある.ツルはコルク質の発達した特徴のある樹皮に覆われ,一度見るとしっかり記憶に残る.
ここには,シタキソウもたくさん自生しており,今回はめったに出会う事のない,存在感のある果実もすぐそばで見る事が出来た.この場所で休憩し,昼食となったが,皆さん食べる間も惜しんでの観察や写真撮影となった.
昼食後,さらに観察を続けながら下山すると,立木の間にぶら下がる幾本ものヤマハンショウヅルの蔓が観察された.いったい何株自生しているのだろう?成長の仕方や自生数などの詳しい調査は今後の課題,広島から参加された方達は車の中で「自生数の多さは日本一ではないだろうか」と言う話をされていたようだが,正確な情報をお持ちの方は是非教えて戴きたい.
植林を通り過ぎ,小さな谷の流れをぬうように下ってゆくと,午前中とは違いナチシダ・シロヤマシダ・ミヤマノコギリシダ等の,シダ類やコケ類が多くなってきた.足場の悪い坂道も少しあったが,皆さん無事下山,暖かな一日であったこと,みなさんにヤマハンショウヅルをしっかり観察して頂けたことに感謝し,再び「ヒメノボタンの里」に移動して2時30分解散となった. (文:酒井 恵子,写真:山岡 重隆)