2014年3月9日(日)に第482回月例会が行われました.
3月にしては少し肌寒いものの好天に恵まれ,土佐黒潮鉄道後免奈半利線夜須駅に集合した。集合時刻の8時30分になり,担当者からの観察コースの説明を聞いた後すぐに出発した。参加者の中には集合場所を勘違いされた方もいたが,無事合流でき,総勢20名の月例会となった。全車が,香我美町西川公民館に移動し,そこに何台かの車は残し,8台の車で,目的地の香北町文代附近に向かった。9時15分頃,文代に着いた。道路が堀切になっている峠附近の少し広場になっているスペースに全ての車を置き,そこから歩いて観察を始めた。清水ケ森の直下にある滝下という部落をめざして歩いた。下から見上げる清水ケ森は,あちこちに石灰岩の断崖が聳え,なかなか迫力のある山容であった。それだけに期待が高まった。道路脇の岸には,早くもコスミレやタチツボスミレがたくさん咲いていた。早春に咲くみずみずしい姿はひときわ美しかった。更に,シロバナショウジョウバカマが咲いたばかりの無垢な姿で点々とあり,本当に美しいと感じた。滝下に向かう道路の谷沿いの岸には,石灰岩を好むメヤブソテツが生育の良い姿でたくさんあったし,ナガバヤブソテツも多く見かけた。またこの谷川沿いには,イセハナビがびっしりと生い茂っていてびっくりした。滝下の一軒家のおばあさんの話によると,これを刈って牛に食わせました,というお話で,二度ビックリした。しかし,冬でも青々とした葉をたくさん繁らせるこの植物は,牛に与えるには格好の飼料となったものだな,となんとなく納得させられた。
滝下のお家から,いよいよ険しい登山道となった。林の中は石灰岩がゴロゴロとむき出しになっていた。そしてメヤブソテツをはじめとするヤブソテツ類がおもしろかった。林床の小低木としてアオキやナンテンがいやに目に付いた。ほどなく,古いながら威風堂々としたお宮についた。土地の人は「つるぎの神社」と言うそうだ。その神社は石灰岩の断崖の下に建てられていた。周りの岩場には,石灰岩特有のシダやギボウシの仲間等が生えていて興味をそそられるところだった。さらに神社の上の林をどんどん登り,清水ケ森の山頂を目指した。シロバイなどを見かけた。尾根筋はひのきの美林であった。その美林の中を北東にすすんで行くと,間もなく清水ケ森の三等三角点に着くことができた。11時10分頃着いた。そこで昼食をとり,12時前には下山開始となった。もと来た道を引き返し,つるぎの神社まで帰った。そこから後は,担当者の情報交換不足から山越えで,町指定の天然記念物のタチバナを見に行ったグループと,そのまま車を置いてある道路までゆっくり観察しながら歩いたグループに分かれてしまった。タチバナは樹勢がおとろえていたが大木が1本あったとのことであった。やがて、分かれていたブループも2時30分頃には全員が無事に車のところに集合できた。
今回は,少しきつい登山もしたが,大部分が石灰岩という地域を観察でき,地質と植物の関係に強く興味を感じるとともに,シダや早春の花を楽しめた一日となった。次回の月例会の確認等の後,2時45分に散会し帰路についた。 (文:宇田英一 写真:宇田英一・鴻上 泰)