2014年11月9日(日)に第490回月例会(いの町吾北村土居十田川・小川柳野中山桂神社)が行われました.
最初の観察地は吾北村土居から十田川沿いを遡る道沿いであった.5台の車は最近閉校になったばかりの下八川小学校の校庭に置かせてもらい,そこから歩いた.閉校になった学校を見るときほど寂しいものはない.まだまだ校舎も新しいのに・・・・.安倍総理の地域創生の言葉がむなしく感じられる.
学校から歩き始めた道沿いは草も刈られていたりしたが,それでも詳しく眺めていくとこの地域らしい植物が次々と目を楽しませてくれた.アオキやマルバウツギが多いところだなと感じた.またシオデが非常に多くそれも立派な黒々とした実を房のようにつけているのを見つけ感動した.シロダモの花もきれいに咲いていた.しばらく進んだところで道路が右に大きくカーブして橋がかかっているところで谷に入った.雨は相変わらず降り続き,あまり谷に入りたがらない人もいたが,入ってみるとシダの宝庫であった.中でもヌカイタチシダモドキは立派なものがたくさんあって,じっくり観察できた.よくみるとこのシダはなかなか美しいシダだと思った.さらに道路をのぼって観察していくとヒトツバの立派な獅子葉のものがあったりした.そして立派なハヤマシダも観察できた.あらためてこの附近がシダに良い環境のところだとつくづく思った.
11時30分頃,下八川小学校にもどり雨の降る中,学校の軒下などで昼食を摂ったが寒くて手がかじかむほどであった.
午後は,小川柳野方面に移動し,有名な柱状節理の露頭を観察した.この岩石は流紋岩で柱状節理の断面は四角だと分かった.露頭は谷の中にあり,そこには立派な滝が勢いよく落ちていた.谷沿いの渓谷には実を付けたフサザクラがたくさん繁っていた.節理の観察を終え,今度は山の上の方にある桂神社をめざして谷沿いを上がっていった.神社への参道の入り口の狛犬は大きくて立派なものであった.参道自体も広くしっかりした作りになっていて新しい手すりまで設置されていた.拝殿近くの前庭には一面にキッコウハグマが愛らしい花を咲かせていたし,杉の大木の落ちた枝にはマメヅタランがびっしりと付着していた.適度に湿度が保たれるすばらしい環境の社叢林で,カツラやコウヤマキの大木もあった.桂神社に参拝した後は,神社上の道路を迂回しながら下山し駐車場の方へ帰った.登ってきた谷を上から眺めると紅葉の進んだ木々もあり,静かな里山の集落をながめながらの散策は,日頃の雑事を忘れさせてくれるほっとできる一時であった.車の所に集結すると,しばし単独行動をとった鴻上さんがジュズネノキの特徴がよくわかる個体を見せてくれた.適度にのんびりとでき,少数のものをじっくりとみることができ,わかったことが頭に残りそうな観察会となったのではないだろうか.少し早かったが2時過ぎに解散した. (文:宇田英一 写真:鴻上泰)