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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

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2016年4月23日(土)に第507回月例会(いの町本川桑瀬一の谷山)が行われました.

 まずまずの好天に恵まれ予定通りの観察会を実施することができた。午前8時いの町枝川の「レストパークいの」に14名の方が集合した。案内文にコースは健脚向きと書いてあったのが響いたのか, 比較的少ない人数であった。4台の車に分乗して,仁淀川沿いを本川方面に向けて出発した。目に沁みるような新緑の中, 仁淀川の清流が一段と美しく見えた。程野が近くなるあたりの山々には, 遅咲きの満開のヤマザクラが目立つようになった。カスミザクラのように白い遅咲きのヤマザクラである。この中にはもしかして典型的なカスミザクラもあるかもしれないので一本一本調べる必要があると思いながら眺めた。しかし険しい山中に点在するサクラはそこまでいくのも大変だが、行き着くことができたとしても観察できる枝までが高すぎて手に取って観察することができない場合が多い。だからこのような調査はなかなか進まないのが実情である。
 やがて長沢に着いた。ここで、道路わきのウワミズザクラを観察したが、きれいに咲いていた。ウワミズザクラはここから先の194号線沿いにも点々と咲いていた。旧寒風山トンネルの少し手前から寒風山~大座礼山林道に入り, 一の谷館からの登山道と合流する地点まで進んだ。そこの谷沿いに一の谷越えをめざす登山道を観察しながら登って行った。花を咲かせたチドリノキ, クマシデやオオカメノキの若葉、芽吹き始めたばかりのカツラ, コハウチワカエデ,シロモジなどを多く見かけた。林床にはジロボウエンゴサク,ヒメエンゴサク, エンザンスミレなどが咲いていた。シダではシノブカグマが多かった。
オオヤマザクラ
オオヤマザクラ
 今日の目当てのオオヤマザクラは登山道沿いに大木が2本と1本の幼木、そして7~8mの高さの木が2本あった。幼木以外はきれいに咲いていた。1週間前の下見の時はまだ葉芽がやっとほころび始めたくらいであったが, わずか1週間で花が満開になっていて本当にびっくりした。今日の日を月例会に選んだのは本当にベストな選択であったとひとりでに嬉しい気分がこみ上げてきた。
 オオヤマザクラは一名ベニヤマザクラともいうが, 本当にその通りだと思った。初めて見る野生のオオヤマザクラ、その赤みの強い大ぶりの花弁はほんとうに感動的な出会いであった。登山道をさらに登って行くと、ブナの木などにヤシャビシャクやアカミヤドリギなどがたくさんついていて興味深かった。さらに林の中から東の方向に目を凝らすと数十m~数百m先に満開のオオヤマザクラが5~6本見えた。登山道沿いにはすでに枯れた大木のオオヤマザクラと思われる木も見つかったが, 若くて樹勢の旺盛な木も広い範囲で育っていることがわかり嬉しかった。
 山中での観察を3時頃には終え下山し, 林道に帰った。そして帰路に就いたが, 一部の者はその林道をさらに奥に少し進み, 林道の下にオオヤマザクラの若木(花を咲かせ始めた若木)が数本生えているのを見つけた。そして, その付近の林道から上の方にも数本満開のオオマザクラが見えた。結局今日の観察会では, 合計20本くらいのオオヤマザクラを観察できたことになった。そして解散は結果的に旅費精算後,山で流れ解散となった。車中での帰途は雨の降る中を帰ったが, 観察中は雨も降らず天気に恵まれた観察会であった。(文:宇田 写真:鴻上)
オオヤマザクラ(花のアップ)
オオヤマザクラ(花のアップ)
ヒナスミレ
ヒナスミレ
ヤドリギ
ヤドリギ
ワチガイソウ
ワチガイソウ