2017年2月12日(日)に第517回月例会(安芸市大井甲八ノ谷)が行われました.
10時前には八ノ谷部落の中心地、旧八ノ谷小学校下の道路に着き、そこの少し広場になっている部分とその近くの道路わきに車を置き、そこから上流に向かって道路を歩き、道路沿いの植物を観察・調査していった。2月の厳寒期でもあり、道沿いは冬枯れの趣で、花の咲いた植物などはほとんど見られなかったが、シダには良い環境の谷と見えて、結構多くの種類のシダ植物が目を楽しませてくれた。シダの同定については、なかなか難しいものもあったが、香川県の高家さんが細かい違いを分かりやすく解説して下さって大変勉強になった。花の咲いた植物としては、ナンカイアオイやセントウソウ、タチツボスミレ、オオイヌノフグリ、コハコベなどがあった。日陰は底冷えのするきびしい気温で手が冷たかった。時折ごくわずかではあるが粉雪が舞ったりもした。しかし、風は無く、日の当たるところは暖かくとても気持ち良かった。樹木も多くの種類が観察できたが、特徴としては、サツマルリミノキやリンボクの多さが目につき、竹はヤダケが非常に多かった。また、人家近くではたくさんのナンテンの実が非常に鮮やかで、まるでナンテン並木の様をなしているところもあった。自生のナンテンも多くみかけた。この地も、かつては小学校があり、賑やかな子供たちの声も聞かれたであろうが、今は老人ばかり8人ほどの部落になっていると聞いた。谷筋には延々とユズが植えられており、収穫されないままのユズの実もたくさんあって寂しい気持ちもした。
観察ポイントは、道路沿いの谷そのものを観察した後、少しもとに戻り、道路から入った深い谷も探索した。この谷にも、シダが多くあった。道路沿いとは違った種類のシダもあった。最後は、神社の社叢を観察した。イワヤナギシダやムギラン、アオガネシダ、ノキシノブなど多くの種類の着生が見られた。
3時過ぎには八ノ谷での調査を終え帰路に着き、琴ケ浜駐車場で、旅費の精算等を済ませ解散した。植物にとっては厳しい厳寒の季節ではあっても、実際に観察してみると、思わぬものにも出会えたりもする。どんな時期でも実際に観察することは、植物を深く知るうえでは大切なことだと、そんな思いを持った観察会であった。〔宇田英一〕