2020年9月13日(日)に第560回月例会(仁淀川町仁淀村白岩川シロエ谷の予定を高岡郡越知町横倉山に変更)が27名の参加で行われました。
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9時45分に観察を開始した。7日に最接近した台風10号の影響で,林内は落葉落枝が著しく林床の植物を探すのには障害だが,思わず着生植物や高木の花などを確認できるのでありがたい場合もある。カクレミノの実やカゴノキの花をつけた小枝などとともにカヤランなども確認できた。特にスギの葉が堆積して探しにくかったが,コオロギランも点在する。最盛期は過ぎているが,まだ若干花が残っている。ゆっくり上がって,10時30分ころに杉原神社に到着。去年から今年にかけてNHKの撮影で数回横倉山にはカメラマンとともに来ており,特に今年3月にはムササビの撮影で,夜間この杉原神社でロケをした。その時に数頭のムササビをこの杉原神社で撮影したのだが,境内の大杉の上部にある巣穴から出て,音もなく滑空してカエデなどの若芽を食べる姿を思い出しながら,巣穴を仰ぎ見た。境内には閉鎖花をつけたキッコウハグマ,ヒメキンミズヒキやハナタデの花,モミジガサ,ヤマミズ,マツカゼソウほかキヨスミヒメワラビ,ジュウモンジシダ,オオクジャクシダ,ギンバイソウ,ヤマジオウなどのほか,ヒメホウチャクソウ,クサアジサイ,トチバニンジンなど多くの植物が見られる。ナキリスゲの貧弱なものかと思ったものはジングウスゲのようで,この山には多くはないがパッチ状に点在する。この辺りから山小屋周辺にかけては植物が多くなかなか足が進まないのだが,先行の組はとうに姿が見えない。アオテンナンショウやハエドクソウの実,ヤマアイ,クサヤツデはつぼみである。たくさんの枝葉が落ちており,特にキハダとケケンポナシはこれほど多かったのかと思うほど大量に枝が落ちている。よくよく見ると毛のないケンポナシそのものの葉もあるが,どの木かわからない。宇田さんとフジキを探したが,結局わからずじまいであった。フジキは牧野富太郎によりこの山から記載されたもので,多くはないが現存しているはずである。中平さんにフジキを探しているといったところ,梼原の自宅周辺には普通に生えているときいて,後に訪ねることにした。昼にどこで集合するか電話があり,横倉宮前で集まることにした。
12時前に横倉宮着,昼食。横倉宮横にあるヨコグラノキ発見命名の原木は老衰で枯れそうでいながらまだ種子をつけており,未熟な実がたくさん下に落ちていた。宮裏の石灰岩地は牧野博士命名のイナカギクのタイプ地だが,まだつぼみであった。徳島から来ていたご夫婦に葉脚が茎を巻き込んでいるのでシコクシロギクかと聞かれたが,巻き込み方が半端で,葉や茎に柔らかい毛が密生していることと,シコクシロギクは高知県では東部にのみ生えていることを伝えた。
12時20分に横倉宮を出発し,安徳天皇陵を経由してカラ池に向かった。安徳陵を過ぎた分かれの谷ではシモバシラはつぼみ,スズコウジュに花があり,そばにジングウスゲも点在し果胞が熟しかけた良い時期であったが,だれも注目しない。周囲はウスゲクロモジやハイノキが多い。ゆるい上り坂の登山道脇に少し時期の過ぎたツチアケビの実が実り,ヨコグラツクバネの実やマルバフユイチゴの葉が目立つ。カラ池への道沿いも倒木などがあり,いろいろと着生している。林床にはニシノヤマタイミンガサがよく目立ち,隠れるようにミヤマナミキやクサアジサイなどが生えている。倒木にホウライカズラのツルが巻き付いている。
13時10分ころにカラ池に到着。中心部は鹿ネットが張ってあり入れないので,周囲を散策する。すでにシモバシラが咲きはじめ,シコクナベワリやナツトウダイ,クルマムグラ,ミツバテンナンショウ,クワガタソウ(つぼみ),アケボノソウ(つぼみ),シロバナハンショウヅル,ツクシヤブソテツなど特異な景観にそったいろいろな植物が見られる。宇賀さんが高知ではまだ記録のないアカハナワラビがあることを教えてくれた。よく見ると,表面に模様が浮き出ており,隣接するオオハナワラビとは異なる。ぜひとも冬の紅葉を確認したい。15分ほど観察してもと来た道を引き返し,15時頃に駐車場に集合。来月の月例会は梶ヶ森に変更して担当を宇田さんと黒瀬さんにお願いして解散した。〔鴻上泰〕