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The Botanical Society of Tosa

土佐植物研究会

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2022年5月22日(日)に第580回月例会(大豊町西峰周辺)が21名の参加で行われました。

 雲ひとつない晴天のもと、甫喜ケ峰森林公園駐車場に8時30分に21名が集合する。打ち合わせの後、車6台に分乗して出発する。
 大豊町西峰沖と大豊町岩原三谷を連絡する林道の途中が舗装工事で通行止となっているので林道ぶちに駐車して、10時30分に登り始め、林道沿いを各自好きなようにバラバラに歩いて観察する。
岩原への峠(標高約1000m地点)まで、約2kmの間には、スギ・ヒノキの植栽林の他にクヌギやアカマツ林の人工林も見られた。林床にはギンラン・ジカバチソウ(蕾)・クルマムグラ・アオテンナンショウ・コケイラン・カンサイスノキ等の花が咲いていた。
 先陣隊は11時30分に峠に着く。その付近ではウワミズザクラ(花終り)・トリガタハンショウヅル(葉)・オオナルコユリ(蕾)・サワフタギ(蕾)等が確認できた。この峠まで登り勾配で、三叉路となり、右へ行けば岩原に下り、左へは作業道へとつながり下る。この峠で昼食をとる。影で風が吹くと肌寒く、日が当たると暑く感じられた。
 次に岩原への林道を200~300m歩きながら下る。
 突然に岩原側から、小さい落石のある急勾配の悪路を自転車で漕いで上がってきた男・女2人(40才ぐらいの夫婦だろうか?)に遭遇したのには驚いた。そして勢い良く駆け登っていった。何というパワーだろう。
また、切取法面の崖の上部(20~30m)に、突然赤いものが見えたのにも驚いた。その正体はホンシャクナゲの満開の花だった。
 切取面の岩場には、ヒカゲツツジ・オオツクバネウツギ・コツクバネウツギ等が確認できた。大木になるサワグルミ・ナツツバキ等もあった。湿りのある土壌にはサイゴクサバノオ・タニギキョウ・ミヤマハコベ・ミズタビラコが咲いていた。
 そこから、先ほどの峠まで引き返して、作業道を下る。ウリハダカエデ・ハリギリ・イヌブナ等の林を通りぬけ、今回の目的地である大豊町が指定文化財として、ヤマシャクヤクの群生地を、平成2年4月22日に指定している場所(現地にこの看板あり)に向かう。すでに花は終わっているが、その群落はみごとである。
だがどうしてここだけが残っているのか?この窪地以外の林の中に下層植物がほとんどないのである。現在ここにヤマシャクヤクと共存して生育しているのは、ハシリドコロ・シロバナエンレイソウ・トチバニンジン・ホウチャクソウ・ウバユリ等である。ここで生育しているすべてが毒を有して、あらゆる動物・特にシカに食害されること拒んでいるからであると思われる。このヤマシャクヤクの生育している窪地以外の広い範囲の場所では、下層植物がほとんど見当らない。シカが食べている。
 峠からの帰り道の林道沿いで、佐々木さんがガの仲間である草に止っているオオミズアオを見つけたのには驚いた。このガはとても美しく羽が大きくて薄い黄緑色である。それがオスとメスが合体して動かない。成虫になって1週間で死ぬそうだ。ところがこれを見ていると合体していたオスがポツンと落ちて死んだそうだ。
もうひとつ驚いた話。同じく峠からの帰り道に3人ぐらいで、珍しいヤマナラシの木に会いたいねと言って歩いて帰っていると、3分もたたないうちに、先に帰っていた4~5人が我らに手を振って招いている。中平さんが居て、行ってみるとなんとヤマナラシの大木を見つけて合図をしていたのだ。こんなことってあるの、願って3分でヤマナラシに会った。
 午後3時半ごろ車を置いていた場所に下山、4時半ごろ甫喜ケ峰森林公園解散する。〔黒瀬修平〕
カンサイスノキ
カンサイスノキ
ギンリョウソウ
ギンリョウソウ
コツクバネウツギ
コツクバネウツギ
タニギキョウ
タニギキョウ
オオアイミズ
オオアイミズ