2022年6月26日(日)に第581回月例会(大川村小麦畝)が24名の参加で行われました。
観察場所は,平家平への登り口への道より少し下の道路沿いということにした。そこで少し車を移動させて,小麦畝谷の小麦畝橋までいき,そこから道路沿いの植生を東に歩きながら探察していった。ヤマツツジが点々と咲き,ジガバチソウの花なども見かけた。間もなく,小雨が降ってきたがすぐに止み,次に雷鳴が轟いたがそれもことなきを得,天気は次第に回復しやがて青空となった。観察は涼しい木々に覆われた道路沿いを歩きながらで,快適であった。昼食は途中にあった赤瀧神社前の道路わきでとった。そこの近くにはイラクサの群生地があった。ギンレイカの花やスダレギボウシと思われるものも目についた。赤瀧神社の社殿の背後は天を仰ぐような垂直の大岩盤が聳え,その岩盤の中ほどをテイカカズラの花が一面に白く染めていた。昼食後は,さらに東に進み,志遊美谷の方に行った。途中,エドヒガンと思うサクラもあった。志遊美谷の橋のたもとに,エノキでもなくムクノキでもない両者の中間のような葉を持つ大きな樹木に出会った。後で調べてエゾエノキとわかったが,県下的には非常に少なく(梼原町付近では案外見かけるようだが)主に石灰岩地に生育しているもので,今回の観察エリアで見つかったことに驚いた。そこから,谷の上の方に伸びる林道を登っていった。ウリノキの花が咲き,またミズメやアサダ,オノエヤナギなども見かけた。そして,この谷での観察を最後にして,ここから別ルートで帰る人もいたので3時半頃ひとまず現地解散をした。そして別ルート以外の20名は,朝の集合場所の「さくら市」まで帰り,車代の清算や,来月の月例会のことなど確認し,それぞれの帰途に就いた。
今回の観察地は,大川村の標高650mくらいの渓谷林の中ということで,草本よりは樹木の観察が主になった感があるが,このエリアにはシイの木は全くなく,またカシ類もまず見かけないし,さりとてブナなどもない推移帯(暖温帯と冷温帯の中間の温帯)と呼ばれる地帯にあたると考えられ,このような渓谷林を観察できたことは貴重な機会であったと思う。また,地元の林春夫さんから,小麦畝の集落についてその変遷の様子など伺うこともでき,感慨深いものがあった。現在では多くの道がつけられているし,木材の価格も最近ではだいぶ上向いていると伺い,この調子で山がさらに発展していき,豊かな自然が守られていくことを願いたいと思いながらの帰途であった。〔宇田英一〕